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WOMB TO WORLD CONFERENCE in Cambridge
人は生まれた時からコンパニオンシップを求めている

by Colwyn Trevarthen (エディンバラ大学名誉教授・幼児心理学者)


ケンブリッジで開かれたバースライト学会では「妊娠中から産後にかけて、サウンドとリズムを通じて積極的に母子の結びつきを支援することができる」というテーマでヨーロッパの著名な研究者が招かれ、貴重な研究結果がシェアされました。
https://www.wombtoworld.org/

学会のメインスピーカーのトラヴァーデン博士
https://www.wombtoworld.org/speakers/colwyn-trevarthen/
は白髪の紳士で、ピアノの旋律のような英語を話す方でした。博士が選ぶ語彙は洗練されていて、身振り手振りもしなやかで、英語疲れの私の頭にオアシスのような時間でした。それもそのはず,博士は'communicative musicality' (おしゃべりの音楽性)という斬新な概念を発見した方で、人と人との会話キャッチボールの中に現れるリズムや間の取り方、メロディのような抑揚に注目して研究してきた著名な心理学者でした。


特に、生まれたばかりの赤ちゃんとママとのやり取りの中には、共通のリズム・間・抑揚(メロディー)・ゼスチャーの型がありました。それは国籍・言語・文化背景を問わず共通点が多くありました。博士は音の周波を計測し、赤ちゃんとママの会話をグラフに表して可視化し、ダブルカメラで会話中の赤ちゃんとママの表情を録画しゼスチャーを記録し続けました。そして、そのパターンは音楽パフォーマンスのルールに沿っていることを発見しました。

博士は新生児の脳の発達、コミュニケーションと健全な情緒発育の専門書も数多く出版しました。このような長年にわたる研究活動の中で、ある確信に至りました。


「赤ちゃんたちは生まれてから

すぐに、すごいスピードで原始
文化的な知性を成長させる。
すぐに周囲の人々と積極的に
関わろうとする。」と。


「赤ちゃんは生まれながらに、大人と対話的な関わり・おしゃべりを、自分から始める能力を持って生まれてくる。目をじっと見つめ、微笑み、からだ全体をうまく連動させるリズム感を生まれつき持っている。」と。

そして、博士が結論づけたのは・・・

その能力を使って
この世に生まれてきて
赤ちゃんが探したいものは、

求めているものは、

コンパニオンシップ
(仲間意識、人とのつながり)

あなたと一緒にいるよ、という、

約束。
そして、それは「楽しみ」のある

約束。

(敢えて,博士は「愛着」

という言葉は使わない。
 愛着というより、もっと

シンプルで普遍的な意識。)

ママ、パパ、おじいちゃん、おばあちゃん、
他の大人達だれでも。
同じくらいの赤ちゃんでも、
お兄ちゃん、お姉ちゃんも。
赤ちゃんは誰とでも仲間になれる。

一番すてきなコンパニオンは、
自分をひとりの人間として扱ってくれて、
一緒にいるのを楽しんでくれる人!!

お母さん、お父さん、周りの大人は
赤ちゃんのこのメッセージに

気づいているだろうか?

「ア〜」「クー」「ダ〜ダー」
赤ちゃんたちの「楽しみ」への誘いにのって
大人もリズミカルに声をかけよう。
赤ちゃんからのかわいい微笑みに、微笑み返そう。
赤ちゃんからの初々しい会話のスタートに
大人が楽しんで応えてあげられれば

それが

豊かなコミュニケーション、人間関係、学び
のための礎になると、博士は考えています。

   *     *
実はというと・・私は英語という言語の壁にはばまれて当初は博士の研究の尊さを実感できていませんでした。学会のサマリーを読み返し,辞書を引きながら当日を思い出し、考え、理解したことをレポートしています。

私たちは、おぎゃーと生まれて来てあなたと一緒にいるよ、という約束を探している。。「楽しみ」のある人とのつながりを探している。。。そうだ、そんなシンプルなことなんだ。いま、生まれてきた意味のヒントをもらったような気持ちです。トラヴァーデン博士の研究をこうしてシェアできることを幸せに思います。ありがとうございました。