いのち:いいも。わるいも。こんなもんや

101歳の彼女はいつも、Dr.と私が部屋に伺うと、「ありゃ。お客さんか。じゃあ私は、どこかに退散しようかな。」という表情をされながら、深く持たれた椅子から動こうと、少し手を動かします。あなたに会いにきたんですよと。娘さんから言われて、一体、何が始まるんだろうと不安になりながら座りなおします。

座っている椅子を動かされて、Dr.と正面に向き合います。急行電車の向かいシートのように近い。「調子はどうですか?」と聞かれ

「いいも。わるいも。こんなもんや。」
といつもの答え。
「なんか、あったときは、そんときや。」
とつぶやかれます。

血圧測定器が左腕に巻かれ、
少し締め付けられてくると

「ひゃー痛いー。なんじゃ。ひゃー」
とビックリされます。

測る前に、「痛いですよ!」と宣言すると、少し我慢をされますが、いつも決まって、「痛い。なんて痛いんや」とコメント。

そんなビックリおばあさんですが、若い頃は車に引かれ、命が絶えたカラスや猫、犬、動物たちを丁寧に埋葬されてきたそうです。この猫たちは、うちで産み落としたんです。

猫たちが我が物顔で机の上に寝そべっている。

生きとし生けるものに慈しみ。
101歳の女性。
「なんか、あったときは、そんときや。」

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