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コラム

livelight:苦集滅道

2017/10/20 / livelight

 

Mindful congruence, four noble truths and healing relationship
(マインドフルネスで調和、四聖諦と癒し関係性)
というタイトルでのグループワーク。

マインドフルネスという言葉がモントリオールでは、当たり前のように使われていることに驚きました。他の発表でも、自殺未遂者にグループワークにてマインドフルネスを実践することで、改善が見られたと報告がありました。ここでいう、マインドフルネスとは、目の前のことに集中すること、という意味で使われていました。

 

目の前に集中することで、見えてくるのが自分の苦悩です。つまり苦悩する自己がまず存在する。そして他者である患者さんがいる。患者さんには病気があって、家族や職業など置かれている状況がある。この自己、他者、状況の3つの要素が、どれか一つが優位になったり、消えたりしながら状況が起きる。

「ストレスを受けながら人々と交流するとき、通常はこの要素のうちの1つあるいはそれ以上を消し去る」
ことが起きて4種類の状態になる。

4つのコミュニケーション態度
 1自己を無視したり、消し去ったりする”懇願する態度”
 2人としての他者を無視する”非難する態度”
 3人としての自己も他者も忘れる”超理性的な態度”
 4極度のストレスにさらされた時、自己、他者、状況の全ての関係を失う”不適切な態度・散漫な態度”


1であれば、新米の医師や看護師が、自分が提供できることは、ほとんど何もないと思っており、しかし、患者がよくなるのに役立つのであれば、喜んで何でもしたいと思っている。それが「十分にやっていない」と患者や指導者から指摘されたら、彼らは自分(自己)を忘れ、遅くまで残って一層がんばろうとする。長期的には、心身の疲労、機能低下、感情的な反応につながり、燃え尽き症候群につながる可能性がある。
2であれば、自分自身の傷つきやすさや必要なことが最優先となり、全ての問題や不備は他人のせいと考える「指導者の自分に対する評価が低いのは、指導者がしっかりしていないから」「家族が自分に腹をたてるのは家族が機能していないからである」と評価する。非難する態度では公正な評価ではなく、自尊感情によって強化された防御反応である。
3であれば、患者や医師の人間性は無視され、病気を治療することだけに焦点が当てられる。
4であれば、情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成の低下に近い状態、超えている場合、人は自己、他者、状況へのつながりを失っており、周囲は困惑し危害が及ぶ
(新たな全人的ケア(医療と教育のパラダイムシフト) 第四章より引用))

各テーブルにて、自分がこれまでに経験した状況をシェアしました。




後半は仏教の四諦八正道に基づく、実戦でした。この内容は発表者にとっても初めての試みのようで、苦心していました。聞いている人の2、3割程度は、仏教にも関心があり、四諦や八正道の内容については理解している様子でした。

四諦(苦集滅道)について
私たちが置かれている状況には4つあると仏教ではいいます。
 1苦悩がある
 2苦悩には原因がある
 3楽(苦悩がない)がある
 4楽(苦悩がない)になる原因(方法)がある

腰痛を例にすれば、
 1腰痛がある
 2腰痛になる筋力低下がある
 3腰痛じゃない楽がある
 4腰痛対策運動がある

●ドクター自身が自分の苦悩に向き合った時、自分の課題に気づくことができ、かつ患者さんのコンテンツが理解できる。
●患者自身が自分の苦悩に向き合った時、患者自身が自分の苦悩に向き合える。
●この時、自己、他者、状況の関係性において、「Wounded Healer(傷ついた癒し人)」にドクターも患者もなる。それは調和のとれた、病気や死に向き合いながら、生きて行く「Healing Journey(癒しの旅)」になる。

モントリオールにて四諦の話が出てきて、私の心の中で盛り上がりながら、静かにグループの中にいました!